第5回でご紹介した「漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)」は、心理療法の現場でも使われている「心を落ち着かせるための技術」でもあります。
提唱者は、アメリカの生理学者・医師であるエドモンド・ジェイコブソン(Edmund Jacobson, 1885〜1976)です。1920年代初頭に開発され、1929年に体系化されました。
なぜ、肩の力を抜くだけで、リハビリ前の不安や緊張までスッと軽くなるのでしょうか?そこには、3つの「心の働き」が関係しています。
1. 体と心は「シーソー」のような関係
人間には、「体が完全にリラックスしているのに、心だけパニックになる」ことはできない、という不思議なルールがあります。 意図的に体の力をダランと抜いてリラックス状態を作ると、脳が「体がこんなに緩んでいるのだから、今は安全なんだな」と安心し、つられて不安な気持ちも静まっていくのです。
2. 「無意識のガチガチ」をリセットできる
痛みや不安が長く続くと、自分でも気づかないうちに全身に力が入ってしまいます。「力を抜いてください」と言われても上手く抜けないのはそのためです。 あえて一度「ギュッ!」と全力で力を入れることで、「あ、自分はこんなに力んでいたんだ」と体に気づかせることができ、その後の一気に「ストーン」と力が抜ける心地よさを味わうことができます。
3. 自分で自分を落ち着かせる「お守り」になる
「動かすと痛いかもしれない」「うまく歩けなかったらどうしよう」 リハビリの前に不安になるのは、ごく自然なことです。そんな時に、「でも、自分にはこの『脱力テクニック』があるから、いつでも心を落ち着かせることができる」と思えることは、大きな自信につながります。
参考サイト
本コラムでご紹介した「漸進的筋弛緩法」や、心と体をリラックスさせるメカニズムについては、以下の公的な医療情報サイトでも詳しく解説されています。ご興味のある方は、ぜひあわせてご参照ください。
- 厚生労働省 メンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」 (セルフケアのページにて、心身の緊張を解きほぐすリラクセーションの重要性や具体的なアプローチが紹介されています) https://kokoro.mhlw.go.jp/selfcare/
- 厚生労働省「eJIM(統合医療情報発信サイト)」:リラクゼーション法 (漸進的筋弛緩法をはじめとするリラクゼーション法が、痛みの緩和や不安の軽減にどのように役立つか、医療的・科学的な視点から解説されています)https://www.ejim.mhlw.go.jp/pro/overseas/c02/11.html


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