【第5回】 訪問リハビリ前に実践!簡単リラックス・テクニック
効果を高める準備運動 訪問リハビリのスタッフが到着する前や、日々の自主トレーニングの前に取り入れていただきたい、心身を緩めるテクニックをご紹介します。ご家族や介護職の方もぜひ一緒にお試しください。
これらの準備を行うことで、訪問リハビリの限られた時間(40分や60分)を、より質の高い訓練の時間に充てることができます。
1. 呼吸法(1:2ブレス)
- 鼻から3秒吸って、口から6秒かけて細く長く吐きます。
- ポイントは「吐く」時間を長くすること。これにより副交感神経が刺激され、リラックス状態に入りやすくなります。
2. 漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)
- 両肩をぐっとすくめて5秒間力を入れ、一気に脱力します。
- 筋肉の「緊張」と「緩和」の差を体が覚えることで、無意識の力みを解消します。

なぜこれらの行動がリハビリの効果を高めるの?
1. 呼吸法(1:2ブレス)が有効な理由
理由:自律神経の「ブレーキ」を意図的に踏むことができるから
人間の自律神経には、車でいうアクセル(交感神経:緊張・興奮)とブレーキ(副交感神経:リラックス・回復)があります。リハビリ前や療養中の患者様は、痛みへの不安や「頑張らなきゃ」というプレッシャーから、無意識にアクセル(交感神経)を踏みっぱなしにしていることが多いです。
- 息を「吸う」とき: 交感神経(アクセル)が優位になります。
- 息を「吐く」とき: 副交感神経(ブレーキ)が優位になります。
【リハビリへの具体的な効果】 吐く時間を2倍(長く)することで、強制的に副交感神経のスイッチを入れます。すると、血管が広がって血流が良くなり、筋肉に十分な酸素が届きます。また、血圧や心拍数が安定するため、運動中の息切れや心臓への負担を減らし、安全にリハビリを行う土台が整います。
2. 漸進的筋弛緩法(ぜんしんてききんしかんほう)が有効な理由
理由:筋肉の「振り子の原理」を利用し、痛みの悪循環を断ち切るから
「力を抜いてリラックスしてください」と言われても、長期間痛みや不安を抱えている方は、体のどこに力が入っているのか自分でも分からなくなっています(これを専門用語で「防御性収縮」と呼びます)。
漸進的筋弛緩法は、一度「MAXまで力を入れる」ことで、脳と筋肉に強い刺激を送ります。その直後に一気に脱力すると、筋肉は元の緊張状態に戻るのではなく、振り子が反対側に大きく振れるように、普段よりも深いレベルまで一気に弛緩(リラックス)するという性質を持っています。
【リハビリへの具体的な効果】 この「緊張と緩和のギャップ」を脳に学習させることで、無意識の力みが取れます。関節の周りの筋肉が柔らかくなるため、関節の可動域(動く範囲)が広がり、リハビリで体を動かした際の「突っ張り感」や「痛み」を大幅に軽減することができます。
まとめ:なぜ「リハビリの前に」やるべきなのか?
訪問リハビリの時間は、1回あたり40分〜60分と限られています。
もし、緊張して体がガチガチの状態でスタッフが到着した場合、最初の15分〜20分は「体をほぐしてリラックスさせること(マイナスをゼロにすること)」に費やされてしまいます。
しかし、スタッフが来る前にご自身やご家族とこれらの準備運動をしておけば、到着した瞬間から体が「動く準備(ゼロの状態)」になっているため、限られた時間をフルに使って「歩く訓練」や「筋力トレーニング」など、本来の質の高いリハビリ(ゼロからプラスにする訓練)に充てることができるのです。


コメントを残す