「「気が張っていると風邪をひかない」―これは単なる迷信ではありません。 忙しい間は平気だったのに、ホッとした途端に風邪をひく。多くの人が経験するこの現象は、「心(精神)が神経を通じて免疫を変える」ことによって起こります。
この「病は気から」のメカニズムを、データや細胞の働きから科学的に証明する学問。それが「精神神経免疫学」です。
◆「精神神経免疫学」の成り立ち(3つのシステム)
私たちの体は、別々に動いているように見える3つのシステムが、密接に連絡を取り合って働いています。
- 精神(こころ・脳): ストレス、感情、考え方
- 神経(ホルモン・自律神経): アドレナリンや交感神経など
- 免疫(白血球・リンパ球): ウイルスや病原菌と戦う細胞
有名な細胞の擬人化アニメに例えると…
- 精神(脳の司令室): 体の持ち主が「仕事が山積みだ!絶対に休めない!」と強いプレッシャー(ストレス)を感じると、脳の司令室に「緊急事態発生!」というアラートが鳴り響きます。
- 神経(体内放送・伝令役): 司令室から、アドレナリンなどのホルモン(伝令役)が全身の血管に放たれます。町中(体内)のスピーカーから「緊急事態!いつでも外敵と戦えるよう警戒せよ!」と大音量で放送が流れる状態です。
- 免疫(白血球やキラーT細胞たち): この放送を聞いた白血球やキラーT細胞(免疫細胞)たちは、休む間もなく武器を手に取り、待機場所(リンパ節)から血管の最前線へと飛び出します。いつウイルス(外敵)が侵入してきても即座に駆除できる、臨戦態勢をとるのです。 (=これが「気が張っていると風邪をひかない」状態です)
【おまけ:なぜ、気が緩むと風邪をひくの?】
大きな仕事が終わり、体の持ち主が「ホッ」とすると、司令室からの緊急アラートが止まります。 すると、ずっとピリピリと張り詰めてパトロールをしていた細胞たちは「あぁ、やっと終わった…」と一気に緊張が解け、休憩所(リンパ節)へ帰っていきます。 実は、この手薄になった瞬間を狙って、ウイルスが体内で増殖してしまうのです。これが「気が緩むと風邪をひく(病は気から)」の正体です。
◆なぜこの学問が重要なのか?
このシステムは短期的な危機を乗り越えるには素晴らしいのですが、「長期戦(慢性ストレス)」に非常に弱いという特徴があります。
「介護疲れ」や「終わりの見えない仕事の重圧」などで、脳(政府)がずっと緊急事態宣言を出したままになるとどうなるでしょうか?
神経は過負荷になり、「コルチゾール」という別のホルモンが出続けます。すると、免疫細胞は疲弊してしまい、逆に動きが鈍くなってしまいます。その結果、ウイルスに負けて感染症にかかりやすくなったり、病気が治りにくくなったりします。にくくなったりします。
精神神経免疫学シミュレーター
ボタンを押して、体内の変化を確認してみましょう
次回から、精神神経免疫学的観点に基づいて「病は気から」の科学的検証を行います。


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