訪問看護の現場で働く皆さま、日々の訪問看護お疲れ様です。 近年、医療・介護業界において「職員のメンタルヘルスケア」の重要性が大きく叫ばれています。その中心的な施策である「ストレスチェック制度」について、重要な法改正が行われたことをご存知でしょうか。
ストレスチェック実施完全義務化
これまで50人未満の小規模事業所では「当分の間、努力義務」とされていましたが、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により、令和10(2028)年4月1日から労働者数50人未満の事業場においてもストレスチェックの実施が完全義務化されることが決まりました。
「まだ先のことだから」「小規模だから関係ない」と思っていませんか? 実は、小規模な訪問看護ステーションだからこそ、今から対策を始めることには大きな意味があります。

1. 「うちのように小さいから大丈夫」に潜むリスク
小規模なステーションでは、職員同士の距離が近く「管理者が一人ひとりの状態を把握できている」と思いがちです。しかし、人数が少ないからこそ、以下のような特有のリスクが潜んでいます。
- 相談相手が限られ、本音を言いにくい
- 休みづらく、特定の職員に業務負担が集中しやすい
- 1人のメンタル不調や離職が、現場全体や経営に直接的な大きな影響を与える
訪問看護は、一人で訪問し判断する場面が多く、利用者様やご家族との関わりの中で「感情を使い続ける仕事(感情労働)」です。知らず知らずのうちにストレスを溜め込み、ある日突然「燃え尽き」や離職につながってしまうケースは少なくありません。
2. ストレスチェックの本当の目的とは?
「義務化されるからやる」という受動的な対応では、形骸化してしまいます。ストレスチェック制度の本来の目的は、「メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)」です。
- 職員自身の「気づき(セルフケア)」を促す
- 高ストレス者を早期に発見し、サポートにつなげる
- 集団分析を通して、働きやすい「職場環境の改善」につなげる
決して職員の能力を評価したり、ふるい落としたりするためのものではありません。むしろ「職員の心と身体を守るための定期健康診断」のような位置づけです。

3. 今から準備を始める3つのメリット
令和10年の義務化に向けて早期からメンタルヘルス対策や制度の準備を進めることには、ステーションにとって大きなメリットがあります。
【離職防止】不調のサインを早期に察知:
ケアの質の低下や事故・ヒヤリハットが起きる前に、適切なフォローが可能になります。
【外部支援の活用】1社で抱え込まない体制づくり:
産業保健総合支援センター(さんぽセンター)や「こころの耳」など、国が提供する無料の専門機関やサポートダイヤルを活用する準備ができます。
【採用力の強化】安心して働ける職場としてアピール:
「職員の健康管理と職場環境改善に力を入れているステーション」という姿勢は、看護師の採用活動(採用ブランディング)において非常に強い強みとなります。
まとめ:まずは自事業所の「今」を知ることから
メンタルヘルス対策は、制度の構築だけでなく、日頃から「相談しやすい雰囲気」や「異変に気づける関係性」をつくっていく積み重ねが不可欠です。
次回(第2回)は、「なぜ訪問看護師はストレスを抱えやすいのか?現場で起きる不調のサインと介護・看護事故のリスク」について深掘りします。
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参考・引用文献
ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策/厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/index.html
小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001678866.pdf
働く人のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」(厚生労働省)
https://kokoro.mhlw.go.jp/
産業保健総合支援センター(独立行政法人 労働者健康安全機構)
https://www.johas.go.jp/


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