第2回の記事では、訪問看護における「5つのAI活用術」と「3つの安全な鉄則」をお伝えしました。
「ChatGPT、Gemini、Claude……最近いろいろ聞くけれど、結局うちのステーションはどれを使えばいいの?」
結論から申し上げます。「世界一優れた万能なAI」は存在しません。あるのは「あなたのステーションの業務環境に一番合ったAI」です。
今回は、AIの主要な3大モデル(ビッグ3)を、心理学の性格分析モデル『ビッグ5』になぞらえて、『新しくステーションにやってきた、性格の違う3人の助っ人スタッフ』に見立てて紹介しましょう。 研修資料『看護師のための生成AI活用入門編』のデータをもとに、それぞれの個性を徹底比較していきます。
性格の違う3人の助っ人スタッフ(AIビッグ3の個性)
① ChatGPT(開発元:OpenAI)
- 性格タイプ:【外向性・経験への開放性】が高い「何でもこなす陽気な万能選手」
- 特徴: 生成AIを社会現象へと押し上げた、圧倒的シェアを誇るリーダーです。クリエイティブな文章作成からアイデア出しまで、人間のように自然な受け答えで何でもこなします。最大の強みは「画像生成(DALL-E 3)」のクオリティが最強レベルであること。無料デザインツール「Canva」と連携させれば、ステーションの勉強会案内やポスターを、プロのデザイナーなしで自動生成してくれます。
② Gemini(開発元:Google)
- 性格タイプ:【誠実性】が極めて高い「資料の山を片付けるコスパ最強の秘書」
- 特徴: Googleの膨大なデータと検索技術を基盤にした、真面目で頼れるAIです。一度に処理できる情報量が圧倒的に多く、分厚い院内マニュアルや長い会議メモを丸ごと貼り付け、「要点を5行で要約して」と指示すれば、わずか10秒で正確な議事録の草案を作ってくれます。Google検索と直結しているため最新情報のファクトチェックが容易で、最もミスの少ない堅実な性格です。
③ Claude(開発元:Anthropic)
- 性格タイプ:【協調性・調和性】が最高峰の「患者様に寄り添う文章の達人」
- 特徴: AIの安全性と倫理性を最重視して開発された、思慮深く優しい「ライター」です。丁寧で論理的な日本語(敬語表現など)を書く能力はずば抜けています。プロンプトに「看護師さんが読みやすい言葉で」「少し砕けた口調で」と追加するだけで、硬すぎる文章を、患者様やご家族の心にスッと届く温かみのある文章へと完璧にトーン調整してくれます。
訪問看護師のための「AIビッグ3」比較表
研修資料のマトリクスをもとに、訪問看護の視点で整理した比較表です。
| AIの名前 | 開発元 | ビッグ5的性格 | 訪問看護での得意技 | 日本語の文章品質 |
| ChatGPT | OpenAI | 外向的・万能型 | 新企画のアイデア出し・ポスター画像生成 | 実用レベル |
| Gemini | 誠実・データ重視 | 分厚い資料の要約・10秒で議事録作成 | 実用レベル | |
| Claude | Anthropic | 協調的・調和型 | 患者様・ご家族向けの「やさしい説明文」 | 最高峰(論理的・敬語完璧) |
結論:Google Workspace導入ステーションなら「Gemini」一択!
性格の違う3人ですが、もしあなたのステーションが、日々の業務システムに「Google Workspace(有料版ビジネスアカウント)」を導入しているなら、メインで採用すべき助っ人は「Gemini」が圧倒的な大正解になります。
理由は2つあります。
- 「圧倒的な作業のなめらかさ」
わざわざ別のAIアプリを立ち上げて文章をコピペしなくても、GoogleドキュメントやGmailの画面の横にあるボタン(サイドパネル)を開くだけで、その場で「今の面談メモをSOAP記録に書き直して」と指示が完了します。 - 「鉄壁のセキュリティ」
有料のWorkspaceアカウント内で動くGeminiは、入力データをAIの再学習に絶対に利用しないという厳格なデータ保護契約(DPA)に守られています。つまり、「いつもの安全なセキュリティ要塞の中で、そのままAIに下書きを手伝ってもらえる」という、医療現場にとってこれ以上ない安心感があるのです。
プロの裏技:「AIリレー」で120点を出そう
「普段の看護記録はGeminiで書くけれど、地域の主治医の先生やケアマネジャーさんに向けて送る、絶対に失礼のない大切な挨拶状を作りたい」
そんな勝負所では、2つのAIの強みを掛け合わせる「AIリレー」という裏技を使ってみてください。
- 第1走者(ChatGPT または Gemini):「地域のケアマネ向け挨拶状に盛り込むべき、訪問看護の強みを5つ箇条書きでブレストして」とアイデア出しを頼む。
- 第2走者(Claude): 出てきた5つのアイデアをClaudeに貼り付け、「これをベースに、医療従事者として丁寧で温かみのある挨拶文に清書して」と仕上げを頼む。
アイデア出しが得意なAIから、清書が得意なAIへバトンを渡すことで、一人で頭を抱える時間の10分の1の速さで、プロ顔負けの文章が完成します。
まとめと次回予告
まずは難しく考えず、「普段づかいのGemini、勝負文章のClaude」くらいのイメージを持って、今日の業務終わりにほんの少し触ってみてくださいね。
さて、道具の選び方が分かったところで、いよいよ次回・第4回は待望の「実践編」です。 作った素晴らしい資料や手順書を、ステーションの他のスタッフに安全に共有するための「Geminiの安全な共有テクニックと設定の裏技」をお伝えします。お楽しみに!
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参考・引用文献
- すけさん訪問看護ステーション ブログ 『明日からステーションが変わる!「5つのAI活用術」と安全な鉄則』(連載第2回) https://sukesan-hns.com/archives/1368
- 桂田和人(NursePath+代表) 研修資料『看護師のための生成AI活用入門編 〜はじめてでも分かる基本の使い方と安全な活用ポイント〜』


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