前回の記事「精神神経免疫学~「病は気から」!?」では、私たちの「心」の状態が、神経を通じて「免疫」の働きを変えるという、「精神神経免疫学(PNI)」のお話をしました。
「気が張っている」ときは、体が「緊急事態だ!」と判断し、一時的に風邪をひきにくくなる、というメカニズムでしたね。
今回は、この「気の張り」について、私たち訪問看護師の視点も交えながら、さらに深く掘り下げてみたいと思います。
誰もが経験する「仕事モード」の正体
私たち訪問看護師は、患者様のご自宅という予測不可能な環境で、単独で判断を下しケアを行います。そのため、勤務中は常にピンと「気が張った」状態にあります。
しかし、この「気の張り」は医療職だけのものではありません。皆様も、お仕事や日常生活の中で「絶対に失敗できない」「今は休めない」と強く感じる場面があると思います。
実は、何に対して、どのように気を張るのか(ストレスのかかり方)は、業種や環境によっていくつかのパターンに分かれます。そして、そのパターンによって「風邪をひきやすいタイミング」も変わってくるのです。
あなたはどのタイプ?「気の張り方」の3つのパターン
- ① プロジェクト・期限型(ITエンジニア、決算期の経理、イベント業など) 「リリース日」や「決算日」という明確なゴールに向かって、数週間から数ヶ月間、徐々に緊張が高まっていくタイプです。ゴールを乗り越え、大きなプロジェクトが無事に終わった週末や翌週に、一気に気が緩んで体調を崩しやすいという特徴があります。
- ② 突発・対人対応型(訪問看護師、接客・クレーム対応、教師など) 予測不可能な事態や、他者の感情・命に直面するため、勤務時間中は常に高いレベルの緊張を強いられるタイプです。日々の細かい緊張の積み重ねから、連休に入った初日や、大きなトラブル対応が片付いた直後にドッと疲れが出て熱を出しやすい傾向があります。
- ③ 日常生活型(介護や育児を頑張るご家族、受験生など) 職業ではありませんが、「絶対に自分が倒れるわけにはいかない」という強いプレッシャーを抱える状態です。ご家族の看病が落ち着いたタイミングや、試験が終わった翌日などに、緊張の糸が切れて体調を崩してしまうことがよくあります。
あなたはどのタイプ?「気の張り方」シミュレーター
ボタンを押して、体内の変化と風邪をひきやすいタイミングを確認しましょう
「ホッとした瞬間」が一番危ない
仕事が一段落した週末や、看病が落ち着いて「ホッ」とした瞬間。交感神経のスイッチが切れ、気が緩んだ隙を狙ってウイルスは悪さを始めます(これをレットダウン効果と呼びます)。
限界を迎えて意図せずプツンと糸が切れて体調を崩してしまう前に、「いつ意図的にオフ(リラックス)にして、張り詰めた糸を緩めるか」が体を守るためにはとても重要です。
西東京市周辺のスポット
たとえば、私たちの訪問エリアである西東京市周辺には、リラックスにぴったりな場所がたくさんあります。
- 自然の中で深呼吸: お休みの日に「西東京市いこいの森公園」や「小金井公園」の緑の中を少し歩いてみる。これだけでも、科学的にストレスホルモンが減少し、自律神経が整うことがわかっています。
- 非日常に浸る: 仕事や介護のことで頭がいっぱいになってしまったら、「多摩六都科学館」のプラネタリウムで、あえて星空を眺めながら『何もしない時間』を作ってみるのもおすすめです。
- 大きなお風呂でリセット: 近隣の温浴施設や銭湯にゆっくり浸かって、物理的に全身の緊張を解きほぐすのも効果的です。
まとめと次回予告:「本当に」風邪をひいていないのか?
いかがでしたでしょうか。皆様が日々の生活やお仕事の中で感じている「気の張り」が、体を戦闘モードにしてくれていることがお分かりいただけたかと思います。
……しかし、ここで一つの疑問が生まれます。 気が張っている時、私たちは**「本当に」風邪のウイルスを完全に跳ね返しているのでしょうか? もしかすると、「ウイルスには感染しているけれど、気合(アドレナリン)で症状を感じていないだけ」**だとしたら……?
次回・第3回は、少し専門的なミクロの世界へご案内します。 白血球などの「はたらく細胞」たちが、体の中でどのように大移動(トラフィッキング)をしているのか。そして、アドレナリンがもたらす「症状の隠蔽(マスキング)効果」という驚きのメカニズムについて、最新の科学的知見を交えて詳しく解説します。お楽しみに!


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